対話に基づく「結婚」で本物の夫婦に

時間をかけて本物の夫婦になろうMarriage based on dialogue
「本物の夫婦」になるとは
ご結婚を決められた方、本当におめでとうございます。
これからの長い人生をともに歩んでいこうと思える伴侶に出会えたことは、とても幸せなことです。
「結婚」は、一般的に婚姻届を提出する法律婚を指しますが、最近は届出に依らない事実婚、週末婚、同性婚などのスタイルを選択する人も増えています。
こうしたスタイルを含めて、本項では「結婚」として扱いたいと思います。
私は「結婚した二人」を「本物の夫婦」にするお手伝いをしています。お会いした人たちにこう伝えると、ほとんどの人にちょっとした沈黙が訪れます。たぶん「夫婦って結婚してるから夫婦なんでしょ?この人、何言ってんだろ」と、みなさんの頭にはてなマークが沢山浮かぶのでしょう。
でも本当なんです。結婚しただけでは、本物の夫婦にはなれないのです。
結婚してから二人に訪れる沢山の転機を乗り越えながら、新しく「二人だけの夫婦の形」を作っていくことで、初めて本物の夫婦になっていく。
ポイントは「二人だけのオリジナルの夫婦の形」です。
ところが、日本の年間離婚件数208,333件のうち、5年未満での離婚率が約31%を占める(2017年人口動態統計月報年経概数 厚労省)ことから、結婚直後を乗り越えられずに離婚していく夫婦が多いという事実。つまりは「本物の夫婦」になる前に、そこから抜け出してしまうカップルが多いということなのです。
私は行政書士でもあり、開業以来これまで沢山の夫婦の離婚相談をお聞きしてきました。そして気づいてしまったのです。現代の日本で男女が夫婦としていつまでもいい結婚生活を続けていくためには、本当にものすごく努力がいるということに。
女性が幸せな世の中は絶対に幸せだと私は思っています。女性の笑顔は関わる周りの人を幸せにするパワーがあると思っているからです。私の想いはここからスタートしました。
でも、現代の女性は沢山の選択肢と情報で自分の人生を選ぶにも悩みがいっぱい。結婚や出産、キャリアや人間関係について悩みながらも輝く人生を自分の力で作っていけるよう、女性を勇気づけたいと言う想いから、「結婚」や「夫婦」という切り口を中心とした情報発信と、「マリッジノート®」を中心とした夫婦間コミュニケーションの提案をしています。
こういう発信をしていると、「いつまでもラブラブな夫婦でいるなんて、無理だよねえ」とよくいわれます。街で老夫婦が手を繋いで歩いている姿を見かけると、素敵だなあと思います。私も憧れます。でも、みんながみんな、いつも手を繋いでルンルンできるわけありません。みんなそれを知っているから、「いいと思うけど無理だよねえ」と言うのです。そうなのです、年月を経てそれでもなお、夫婦がいつまでも仲良しで居られるというのは本当に奇跡に近いことなのです。
でもその奇跡は、自分たちでちゃんと作ることができるのです。
結婚した二人が必ず感じる「温度差」
人間関係には温度差がつきものです。そもそも、他人との人間関係なんて突き詰めて考えたら本来は「めんどくさい」。自分とは違うことを考えている他人とお互いを理解し合うことを目的として、会話を通じて関係性を作っていくのが人間関係。いわば相手の「体感温度」を知ってちょっとずつ自分との間で温度調節していきます。
でも、人間関係は「生き物」と同じ。常に進化し続けます。周りの環境や経験を取りこみながら人が成長し続けていく以上、人間関係も常に変わっていくはず。だから最初に作った関係がそのままずっと継続するというのは、とても難しいこと。なのに、こと夫婦に関しては幻想でもあるのでしょうか。一つ屋根の下に暮らしているという感覚がそうさせるのか、「結婚した後の変化」にみんな鈍感すぎます。この変化が、二人の間の「温度差」になって表れるのです。
この「温度差」、自分にとって最も身近な人であればあるほど、気付かないうちに大きく開いたりします。大事なのは温度の高さ、低さ、ではありません。「差があまりないかどうか」の方が重要です。それぞれが持つ基準に「温度差」が発生していると、必ずと言っていいほど二人の間にはモヤモヤが生まれます。大事なことは、二人の間に温度差の少ない、オリジナルの関係性を双方が納得して作ること。他のカップルと比べることや、他人がどう思うかは関係ありません。
結婚する今がスタートラインです
「結婚」が目の前に見えてきたみなさんは、結婚後の生活にどんなイメージを抱いているでしょうか。結婚するという一番大きな変化は、暮らしが一緒になること。恋人時代は自分の時間の一部を共有してきたふたりですが、これからは、暮らしそのものを共有することになります。
結婚するときって、「これからの人生を共に歩む」なんていうような素敵なフレーズがよく使われますが、「これからの人生」って結構長い。だから、結婚で交わされる言葉は聞きようによってはちょっと重たい覚悟。
「結婚する今の段階で、これから50年以上も続く人生すべてにコミット出来るか、って言ったらちょっと自信がなくなってしまう」のは、正直な男性側からの視点。
女性はどちらかというと「大好きなこの人となら一生幸せでいられる」という今の素直な気持ちをベースにしたふんわりした気持ちを持っていることの方が多いので、結婚を覚悟と捉えることはあまりないような気がしています。だから、男性と女性の間には、最初から意外と温度差があるものです。結婚準備の段階での喧嘩は、ベースにあるそんな「意識のずれ」の表れでもあります。
結婚することで、法律上は夫婦という形になれるだけ。ふたりの人生の道はまだまだこれから。「本物の夫婦」は、ふたりでつくっていくもの。
結婚する今がそのスタートラインです。
結婚前のあなたの疑問はこんなことではありませんか?
- 話しておいたことがいいことが沢山あるはずだけど、どこから話したらいいんだろう?
- 結婚後のことで、いまから決めておいた方がいいことって、どんなこと?
- 結婚した後、二人の関係ってどんな風に変わっていってしまうのかな?
- けんかすることが多いけど、私たち大丈夫かな・・・
当事務所では、結婚前の二人がぼんやりと不安に思っていることをしっかり話し合うためのコミュニケーションツールや、その具体的方法をご案内しています。
しっかりと「契約書」という形で残したい方は「婚姻契約書」
契約書を作るのは抵抗があるけれど、パートナーと楽しく二人の未来について話し合ってみたいという方は「マリッジノート®」
パートナー「会話」の意味
あなたとパートナーが一緒に住んでいたとしても、それ以外の時間は他のコミュニティと過ごしているはずです。そして実は「それ以外の時間」の方が多いのです。属するコミュニティが違うことで現れる一番の違いは「共通言語」。一緒に暮らしているけれど週末の限られた時間しかコミュニケーションをしないパートナーより、一緒に旅行に言ったり飲みに行ったりする友人たちの方が楽しいという場合、そこに介在しているのは「共通言語があるかないか」ということだったりします。
仕事仲間とコミュニケーションする時、背景や登場人物の説明が不要なので話がスムーズです。「この前のプロジェクトでね」「ああ、○○さんとやってる長野の仕事だっけ?」「そうそう、○○さんは△△さんに紹介されたんだけど」「え、△△さんって私も去年一緒に仕事したよ!」なんて具合に話がトントンと進みとても心地よい。女性が「女子会」と称して集まるのも、共通言語というベースがあれば共感しやすく、会話も心地いいからです。
会話は手段です。では、私たちがなぜコミュニケーションという手段を取るのかというと、何らかの目的があるからですね。例えば女子会の場合は「楽しい会話でまた明日も頑張ろうと思うための時間」とか「誰かの恋愛相談を真剣に考える時間」だったり。仕事仲間のコミュニケーションなら「今やっているプロジェクトの成功」が目的でしょう。明確に目的を意識しながらコミュニケーションを取ろうとしているわけではないと思いますが、人と人との会話には些細なことでも必ず目的があります。その目的を遂行するために、お互いを分かり合う努力を続け、私たちは人間関係を築いていくわけです。
では、男女間ではどうでしょうか。恋愛時代の目的はただ一つ、「この人を自分のものにしたい(自分に振り向いてほしい)」。よく男性は結婚した後「釣った魚にエサはやらない」と言われるのは、文字通り「身も心も」手に入れたい!という目的を達成するために、会話だけではなく様々な手段で相手にアプローチをしますね。そこにはもちろん、沢山の会話が存在します。恋愛時代の二人には、二人の間の思い出という共通言語はあるでしょうが、そんなことよりも「この人が欲しい!」という目的の方が大きい。それが、結婚すると、つまり「自分のもの」として手に入れると、当初の目的が達成されてしまうわけですから、今まであったはずの二人の間のものが減らされていきます。それが、会話、プレゼント、一緒にいる時間、などに現れるでしょう。別にそこに意図があるわけではありません。気づいていないだけです。二人が同じ会社で仕事をしているとか、職種が同じという場合以外は、日常の活動に共通言語が少ないので、パートナーとの間に仕事以外の共通言語がないと、こうして会話は少しずつ減っていってしまいます。むしろ当然のことです。夫婦の場合、子供ができたりすると「子供の話題」が共通言語になるので、会話という意味で言えば「子はかすがい」という役割を果たすことも多いはずです。ただし、子供を介した共通言語だけが二人の会話の中心だと、子供に手がかからなくなったときに、二人をつなぎとめる会話のネタは減るので、夫婦がこれからも二人で生きていこうと思うのなら、改めて二人の人生の目的を見つける必要がありそうです。熟年離婚のカップルはここが見つけられない場合が多いのですね。
二人の関係性の目的がわからないと、気づかないうちに会話が減り、共通言語が少ないからさらに話すことが面倒になる。こうして身近なパートナーと会話をしないでいると、ふたりの温度差が開き、いつしか「ふたりでいてもなんとなくモヤモヤする」という居心地の悪い状態になってしまうかもしれません。
パートナーとのコミュニケーションを改めて見直すときには、二人の関係の目的は何かということと、共通言語を作ることが一番効果的。パートナーと会話を続けていくためには、二人の関係の目的を改めて一緒に考えてみるといいと思います。二人がこれからどういう人生を作っていきたいのか、どう生きていきたいか、そのためにはパートナーとして何ができるのか。こうして文字で書いているととても堅苦しく思えるかもしれませんが、「パートナーを知って尊重する」ことは巡り巡って自分の人生を見つめることにもつながるのです。